第3回 男の300年 2000年代編 『25時』

第3回 男の300年 2000年代編 『25時』

もはやスロウガンの冬の定番アウターの地位を確立した感もある通称『25時コート』。
これは2002年公開のスパイク・リー監督、エドワード・ノートン主演の映画『25時』のなかで
劇中、しばしば登場する黒のウールステンカラーコートのことで、涙が出る程かっこいい。
元来、欧米カルチャー信仰に厚い日本人にとって、たとえば典型的パリジャンなら、セント・ジェームスのボーダーTにブラックの501、手入れの行き届いていないウエストンのローファー、そしてよれよれのバーバリー。髪はボサボサ・・・こんな感じでドゥミバケットを小脇にはさんでくれていたらまさにパーフェクトスタイリング。この想定内のかっこよさのニューヨークバージョンがこの映画25時のなかのスタイルなのだ。主人公モンティー(エドワード・ノートン)がチェルシー付近を愛犬のビットブルを散歩させるシーンでこの黒いコートを着用する。下は杢の丸首スエット&パンツはブラックウールのテーパードスラックス。これは最近流行りのノームコアの走りなのかもしれない。無造作に立てた襟、サイズボリューム等、12年たった今でもこのシーンを超える素敵なアウターに出会っていない気がする。定番ブランドの鉄板品番でもなくただの普通の黒いウールコート。ニューヨーカーはこうあってほしいというイメージの可視化。ただ、このウルトラノームコアなコートの下にはノートンの強靭に鍛え上げられた肉体が潜んでいる。このニューヨーカーのノームコアスタイルってスティーブンジョブスは知性とユーモアを、エドワードノートンは肉体美をそれぞれ普段着の下に隠している。なにか秘めた物を持ち合わせないとこの2000年代ノームコアスタイルは成立しないのかも知れない。シンプルな服を作り込まずにサラリと着こなす人類カジュアルの成熟期スタイルである。
2015 (1 - 1)-12

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